日常のレジャーが、災害への備えになる?
週末、自然の中でキャンプや登山を楽しむ。
テントを張り、焚き火を囲み、静かな夜を過ごす――
そんなひとときは、心を癒す特別な時間です。
けれど実はこの「遊び」の中に、災害時に役立つ知恵と力が詰まっているとしたら、どうでしょうか。
地震や豪雨など、災害はある日突然やってきます。
そしてその時、用意していた物だけで乗り越えられるとは限りません。
本当に求められるのは、状況に応じて柔軟に動ける力や、予想外の展開に対応する力です。
その土台となるのが、実はアウトドアで培われる“実践的な経験”なのです。
道具を使い慣れていることが最大の強みになる
キャンプで使っている道具を、災害時にも応用できることは少なくありません。
例えばテントやタープは、避難所や屋外でプライバシーを守る空間として使えます。
簡易ベッドやコットは、硬い床での睡眠を少しでも快適にし、体力を保つ助けになります。
アウトドア用のバーナーや調理器具も、限られた食材と水で温かい食事を作るのに役立ちます。
携帯用浄水器は、安全な飲み水の確保に。
ヘッドライトやランタンは、停電時の暗闇を照らす大切な光源になります。
これらは非常時に必要とされる道具でもあり、日常のアウトドアで「使い慣れている」という事実が、いざというときの安心感につながります。
自然の中で身につく「生き抜く力」
道具以上に大切なのが、自然の中で得られる判断力や精神力です。
アウトドアでは、天候の変化や思いがけないトラブルに対応しながら行動することがよくあります。
そこで求められるのは、限られた道具で工夫する力、周囲を観察して判断する力、体力や忍耐力、そして何より「なんとかなる」と前向きに考える力です。
このような経験を重ねることで、不安定な状況でも冷静に動ける自信が生まれます。
災害時に陥りがちな“正常性バイアス”(自分は大丈夫と思い込む心理)や、“フリーズ状態”からも抜け出しやすくなるのです。
地域とのつながりが、支え合いの力になる
アウトドア活動が、地域の防災力を高めることにもつながります。
地域の清掃活動や自然体験イベントなどに参加することで、近所の人との関係が生まれます。
災害時には、こうした顔の見える関係が、互いの安否確認や物資の融通といった場面で力を発揮します。
行政の支援がすぐに届かない初動時には、地域のつながりこそが命を守る鍵になるのです。
今日からできる、小さな一歩を
防災のために特別な訓練を受ける必要はありません。
今持っているキャンプ用品を「災害時にも使えるか」という視点で見直してみるだけでも、大きな一歩です。
次にアウトドアに出かけるときは、非常時を想定して使ってみましょう。
例えば「水が出なかったらどうする?」「明かりがなかったらどう動く?」と、少しだけ視点を変えることで、楽しみの中に“備え”の意識を育てることができます。
遊びの中に、防災のヒントがある
自然の中で過ごす時間は、リフレッシュであると同時に、私たち自身の「対応力」を育てる時間でもあります。
キャンプを通じて得られる経験や工夫は、災害時にきっと力になります。
あれこれ備えるより、まずは「使い慣れること」「楽しむこと」から始めてみましょう。
あなたのレジャー経験は、きっと無駄ではありません。
今日からできる“遊びの備え”で、「もしも」に強い自分を育てていきませんか?