季節の変わり目やウイルスが流行る時期、なんとなく体がだるい、風邪をひきやすい…
そんな経験はありませんか?
これらは、もしかすると「免疫力の低下」のサインかもしれません。
私たちの体には、外から侵入する病原体やウイルスから身を守るための「免疫システム」が備わっています。
この働きは、日々の食事や生活習慣によって大きく左右されます。
つまり、何を食べ、どう過ごすかが、私たちの健康のカギを握っているのです。
体を守る2つの免疫システム
免疫には大きく分けて2つのしくみがあります。
ひとつは「自然免疫」。
これは生まれつき備わっている防御システムで、体に異物が入ってくるとすぐに反応し、ウイルスなどを排除しようとします。
マクロファージやナチュラルキラー細胞(NK細胞)といった免疫細胞が、体内を巡回しながら異常を見つけては対処しています。
もうひとつが「獲得免疫」。
こちらは、過去に出会った病原体を記憶しておき、次に同じものが侵入してきたときに素早く、強力に対応するしくみです。
インフルエンザに一度かかると、次にかかりにくくなるのはこのおかげです。
このような免疫細胞がきちんと働くためには、日々の栄養補給がとても重要です。
免疫を支える栄養素と食材
免疫力を保つには、体に必要な栄養素をバランスよく摂ることが基本です。
なかでも特に注目したい栄養素をいくつか紹介します。
まず、ビタミンC。強い抗酸化作用があり、体内の細胞を守る力があります。
ストレスや感染の際には大量に消費されるため、こまめな補給が必要です。
ピーマン、ブロッコリー、キウイなどは身近で手に入れやすいビタミンC源です。
次に、ビタミンD。これは太陽の光を浴びることで皮膚からも合成されますが、特に冬場は不足しがち。
鮭やサバ、卵黄などに多く含まれています。
ビタミンDの働きをサポートするためには、マグネシウムも一緒に摂ると効果的です。
また、ビタミンB群も重要です。これは体内のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きを助ける役割があり、免疫細胞が活発に動くための燃料になります。
豚肉、卵、豆類、全粒粉パンなどに多く含まれています。
さらに、マグネシウムや鉄も免疫の働きに不可欠なミネラルです。
マグネシウムはナッツや海藻類に、鉄は赤身の肉やレバー、ほうれん草などに多く含まれています。
そして、舞茸や緑茶に含まれるポリフェノールや、ウコンに含まれるクルクミンといった植物由来の成分も、細胞の酸化を防ぎながら免疫の働きを支える力があります。
腸から始まる免疫力づくり
実は、体内の免疫細胞の約7割が腸に集まっていると言われています。
腸は単に食べ物を消化・吸収するだけの器官ではなく、「免疫の司令塔」としても働いているのです。
腸の中にはたくさんの細菌がすみついており、これを「腸内フローラ」と呼びます。
善玉菌が多く、バランスの取れた状態を保っていると、体の免疫力も高くなります。
そのためには、腸内環境を整えることが大切です。
善玉菌のエサになる水溶性食物繊維(野菜や海藻類、果物に含まれる)や、発酵食品(味噌、ヨーグルト、漬物など)を日常的に摂るようにしましょう。
食事と生活習慣の見直しが免疫力をつくる
免疫力を高めるためには、食事だけでなく、日々の生活習慣の見直しも欠かせません。
まずは、適度な運動。
ウォーキングや軽いスクワットなどは、腸を刺激して排便を助け、腸内環境の改善にもつながります。
次に、質の良い睡眠。深く眠ることで体の修復が進み、自律神経のバランスも整います。
睡眠不足は腸の働きを鈍らせ、免疫力を下げてしまう原因になるのです。
また、ストレスの管理も重要です。
強いストレスが続くと、免疫細胞の働きが鈍くなり、栄養の吸収にも悪影響を及ぼします。
自然の中で過ごしたり、趣味の時間を持ったりすることも、立派な免疫ケアの一部です。
体の中から守る力を育てよう
免疫力は、病気を予防するための最前線に立っています。
特別なことをする必要はありません。
いつもの食事に少し意識を向けるだけで、体の中から守る力を育てることができます。
栄養バランスの取れた食事、腸をいたわる習慣、そしてよく眠ること。
これらの積み重ねが、病原体に負けない体づくりにつながるのです。
今日の一食、今晩の睡眠。
小さな選択のひとつひとつが、未来の健康をつくっていきます。