「最近ずっと疲れている」「寝てもすっきりしない」そんな漠然とした不調に心当たりはありませんか?
実はそのだるさや倦怠感、単なる寝不足やストレスのせいだけではないかもしれません。
私たちの体の内側、特に消化器系のバランスの乱れが、慢性的な疲労感につながっていることがあるのです。
疲労感の“意外な犯人”は体内の微生物かも?
人間の体には、数えきれないほどの細菌や真菌(カビの一種)が存在しています。
これらは「常在菌」と呼ばれ、健康な状態では私たちと共存していますが、環境や生活習慣の影響でバランスが崩れると、不調の原因になることがあります。
とくに注目されているのが、腸内に生息する微生物たちの異常な増殖です。
例えば、通常はおとなしくしているカビの一種が、糖質の多い食事やストレス、免疫力の低下をきっかけに増殖することがあります。
これにより腸内環境が乱れ、疲労感やイライラ、さらには甘いものへの強い欲求を引き起こすケースも報告されています。
これらの変化は、「なんとなくだるい」という不調として現れることもあるのです。
小腸で細菌が増えすぎるとどうなる?
もうひとつ見逃されがちな原因が「SIBO(小腸内細菌異常増殖症)」と呼ばれる状態です。
本来、細菌は主に大腸に多く存在していますが、SIBOでは小腸に細菌が増えすぎてしまいます。
すると、腸の中で本来の消化や吸収のプロセスがうまくいかなくなり、栄養不足やガスの発生、炎症などを引き起こします。
特に問題になるのが、細菌がビタミンやミネラルを奪ってしまうこと。
たとえばビタミンB12や鉄が不足すると、貧血や神経の不調が起こりやすくなります。
また、細菌が糖質を異常に発酵させることで、ガスがたまりやすくなり、腹部の張りや痛みが出ることもあります。
このような変化は、消化不良だけでなく、全身のだるさや集中力の低下、さらには気分の落ち込みといった症状にまでつながることがあります。
腸の元気が全身の元気につながる
腸は「第二の脳」とも言われ、心や体の健康と深く関わっています。
腸内環境が整うと、栄養の吸収がスムーズになり、エネルギーも効率よく作り出されます。
一方で、腸のバリア機能が低下すると、腸内の有害物質が血液を通じて全身に巡り、慢性的な疲れや不調を引き起こすことがあります。
そのため、腸内環境を整えることは、疲れやすさを改善するための第一歩です。
腸を健やかに保つには、糖質を控えめにした食生活、十分な睡眠、ストレスケア、そして腸の動きを促す軽い運動が効果的です。
今できる、腸から始める疲労対策
まずは、夜の食事から糖質の摂り方を見直すのがおすすめです。
特に甘いものや精製された炭水化物を減らし、代わりに野菜や良質な油を意識して摂るようにしましょう。
中鎖脂肪酸(MCTオイルなど)には、カビの細胞膜を壊したり、腸内でエネルギーに素早く変わったりする働きがあるとされています。
さらに、SIBOの疑いがある場合は、専門的な検査を受けることも検討しましょう。
呼気テストといって、特定の糖を飲んだ後に吐き出されるガスを調べることで、細菌の異常な増殖が起きているかどうかをチェックする方法があります。
だるさの原因に“腸”という視点を
疲労感やだるさは、つい「仕方ない」と片付けてしまいがちですが、もしかすると腸内環境が関係しているかもしれません。
日々の体調の変化に気づき、腸に優しい生活習慣を少しずつ取り入れていくことで、体はきっと応えてくれます。
慢性的な不調に悩んでいる方は、まずは「腸」に注目してみてください。
毎日をもっと元気に過ごすためのヒントが、そこにあるかもしれません。