遊びの中で育つ「共助の力」 ― 楽しみながら、災害への備えをはじめよう ―

防災サバイバル

災害大国・日本に生きる私たち

私たちが暮らす日本は、豊かな自然とともに、地震や台風、豪雨などの災害リスクと隣り合わせです。
どんなに科学が発達しても、災害がいつ起きるかを正確に予測することはできません。
だからこそ、一人ひとりが「備える」意識を持ち、いざというときに自分や周囲の人を守る力を育てておくことが大切です。

災害時、行政による支援(公助)がすぐに届くとは限りません。
その隙間を埋めるのが、自分で自分を守る「自助」と、周囲と助け合う「共助」です。
特に共助は、地域のつながりが生死を分けることもあるほど重要な要素です。

非常時の“こころ”を知っておこう

災害時は、体の安全だけでなく、心の状態にも大きな影響があります。
突然の出来事に直面すると、人は恐怖や混乱で体が動かなくなることがあります。
これを「フリーズ反応」といい、自分の意志ではコントロールしづらいものです。

また、周囲の人の動きに無意識に合わせてしまい、避難のタイミングを逃す「同調バイアス」も起こりやすくなります。
こうした心理的な傾向を知っておくことは、いざという時に冷静な判断を下すための第一歩です。

グループでのレジャーが備えになる理由

ハイキングやキャンプなど、自然の中でのグループ活動は、災害時に役立つスキルや感覚を育ててくれます。
たとえば、天候の急変や仲間の体調不良など、思い通りにいかない場面に直面したとき、参加者同士で話し合い、協力して対処します。

また、自然と役割分担が生まれるのも特徴です。
道に詳しい人がルートを案内し、料理が得意な人が食事をつくる。
そんな「強みを活かして支え合う体験」は、災害時にも応用できる貴重な学びになります。

レクリエーション体験がつくる信頼と判断力

グループで汗をかき、困難を共有する時間は、メンバー同士の信頼を深めます。
この信頼関係は、災害時に「声をかける勇気」や「協力のきっかけ」を生みます。
実際、東日本大震災では、顔見知り同士が声をかけ合って避難できた例が多数ありました。

さらに、レクリエーションでは「誰かが率先して動き、周囲がついていく」場面も自然に生まれます。
こうしたリーダーシップやフォロワーシップは、同調バイアスに飲み込まれず、的確な避難行動をとる助けとなります。

日常に防災の種をまこう

アウトドアでは応急手当や地図の読み方、限られた物資で工夫する力も身につきます。
これらはすべて、災害時に「共助の力」として役立つものばかりです。
たとえば、救急法の知識は怪我をした人の命をつなぐ助けになりますし、簡易トイレや食料を分け合うスキルは避難生活の質を高めます。

防災は特別なことではありません。日常の遊びの中で、楽しみながら備えることができます。
まずは、近所の人と挨拶を交わすことから始めてみましょう。
一緒にレジャーに出かけたり、防災訓練に参加することも、立派な備えの一歩です。

楽しみが「助け合い」の力になる

遊びの中で育まれる協力の経験は、いざという時、命を守る大きな力になります。
自然とふれあい、仲間と汗を流しながら「共助の心」と「動ける力」を育てること。
それは、災害の多い国に生きる私たちができる、最も実践的で、温かな備えではないでしょうか。

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