「最近、疲れやすくなった」「気分が落ち込みやすい」「なんとなく不調が続いている」。
そんな感覚があるなら、運動不足が関係しているかもしれません。
現代の暮らしは便利になった一方で、歩く機会が減り、デスクワーク中心の生活で体を動かす時間が不足しがちです。
運動は単に体を引き締めるためだけのものではありません。
実は、消化や免疫、心の安定など、体の内側に大きな変化をもたらす重要な役割を担っています。
エネルギーを生み出す力を高める
私たちの体の中には、細胞一つひとつに「ミトコンドリア」というエネルギー工場があります。
ここでは、ATPというエネルギーが作られ、全身の活動を支えています。
特にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、ミトコンドリアを増やし、その働きを活性化させることが分かっています。
たとえば、1日30分のウォーキングを週に5日ほど続けることで、ミトコンドリアの数が増え、疲れにくい体に近づくと報告されています。
また、ビタミンB群やコエンザイムQ10といった栄養素をしっかり摂ることも、エネルギーづくりをサポートします。
腸の動きを助けて、体の中から整える
食事をしても、消化吸収がうまくいかなければ、栄養は体に届きません。
運動には、腸の動きを活発にする作用があります。
特に腸の「ぜん動運動」がスムーズになると、消化が助けられ、便通も整いやすくなります。
腸の周りの筋肉を使うことで、自然な排泄力が高まり、不要な老廃物をため込みにくくなります。
さらに、適度な運動は腸内環境を整えるホルモンや物質の働きにも良い影響を与えるとされており、健康な腸が保たれることで、栄養の吸収効率が高まり、肌や免疫にも良い影響が期待できます。
免疫力を引き出す
体をウイルスや細菌から守ってくれているのが免疫システムです。
その約7割が腸に集中していることをご存じでしょうか。腸内環境が整うと、免疫細胞が正しく働きやすくなり、病気への抵抗力も高まります。
運動は、この免疫力の維持や活性化にも一役買っています。
ただし、過度なトレーニングは逆に免疫力を落とすことがあるため、あくまで「やや息が上がる」程度の運動を習慣にすることが理想的です。
また、十分な睡眠と合わせて取り組むことで、より安定した免疫状態を保てます。
心のバランスを整える
心が疲れているときこそ、体を動かしてみましょう。
運動は、気分を前向きに保つホルモンの分泌を促す効果があります。
セロトニンやドーパミンといった脳内物質が整いやすくなることで、ストレスに強くなり、不安感やイライラの軽減にもつながります。
さらに、運動後には心拍の変化が落ち着き、リラックスした状態を感じやすくなります。
ストレッチやゆっくりとした深呼吸を取り入れながら行うことで、心と体の両方が穏やかになっていく感覚が得られるでしょう。
1日10分から始める、ムリしない運動習慣
「運動しないと」と気負うと、なかなか続かないものです。
そこで大切なのは、生活の中に自然に取り込むこと。通勤時に一駅分多く歩く、エスカレーターではなく階段を使う、歯磨きしながらスクワットをする。
そんな「ながら運動」なら、毎日の動作にちょっとした工夫を加えるだけで始められます。
また、1日10分でも運動したら手帳やアプリに記録してみましょう。
続けた実感が積み重なれば、モチベーションにもつながります。
無理をせず、自分のペースで、完璧を求めないことも大切です。