私たちの体は、常に外からのウイルスや細菌といった病原体と戦っています。
このときに働くのが「免疫力」です。
栄養バランスの良い食事や適度な運動が大切だということはよく知られていますが、意外と見落とされがちなのが「睡眠」です。
実は、睡眠の質と量は、免疫機能と深く関わっています。
なぜ睡眠が免疫力と関係しているのか
免疫力をしっかり働かせるには、体の基本的な仕組みを整えることが必要です。
たとえば、よく動くこと、バランスよく食べること、しっかり休むこと。
そして、その中でも「眠ること」は、心と体の両方にとって欠かせないリセットの時間です。
現代の私たちは、スマホやパソコンのブルーライト、仕事や人間関係のストレス、夜遅くまでの活動によって、知らず知らずのうちに睡眠のリズムが乱れがちです。
その結果、眠りが浅くなったり、睡眠時間が不足したりして、慢性的な睡眠不足に陥ってしまいます。
このような状態が続くと、自律神経のバランスが崩れ、腸の働きにも悪影響を及ぼします。
実は、体の免疫細胞の約7割が腸に集中しており、腸は免疫システムの“司令塔”ともいえる存在です。
腸内環境が乱れると、感染症やアレルギー、慢性的な炎症などのリスクが高まり、体が外敵に弱くなってしまうのです。
さらに、睡眠中は体が修復モードに入るため、細胞の再生や老廃物の排出といった「健康を維持するための作業」も活発に行われます。
つまり、しっかり眠れないと、その間に整えられるはずの体のメンテナンスも滞ってしまうのです。
睡眠の質を上げるために、できること
免疫力を守るには、まず「よく眠ること」が基本になります。
そのために今日からできることは、意外と身近な習慣の見直しです。
まず、寝る前の過ごし方を見直してみましょう。
日中に受けた刺激で高ぶった神経を静めるために、寝る前はスマホを手放し、間接照明などで部屋の明るさを落とし、心を落ち着ける時間をとるのが理想です。
また、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かると、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスしやすくなります。
このとき、腸もリラックスし、消化活動がスムーズになりやすいのです。
生活リズムを整えることも重要です。
毎日なるべく同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで、体内時計が安定します。
夜遅くの食事は避け、就寝の2~3時間前までには食べ終えるよう意識すると、腸に負担をかけずに済みます。
腸は空腹の時間帯に老廃物の掃除をしてくれるため、食べ過ぎを避け、空腹の時間をつくることも大切です。
加えて、自分の体質に合った刺激物の調整も役立ちます。
たとえばカフェインは、代謝の速さに個人差があり、夜にコーヒーを飲んでも眠れる人もいれば、午後の摂取でも睡眠に影響する人もいます。
もし寝つきが悪いと感じているなら、自分の体の反応を観察してみるとよいでしょう。
栄養とミネラルも、質の高い眠りを支える
睡眠と免疫を支えるためには、必要な栄養素をしっかり摂ることも大切です。
中でも注目したいのが「マグネシウム」です。
マグネシウムは神経の興奮を抑え、体をリラックスさせる働きがあるため、睡眠の質にも関係しています。
また、ビタミンDが体内でうまく働くためにも、マグネシウムは欠かせません。
これらの栄養素は、免疫の調整にも関わるため、食事の内容を見直すことも、睡眠改善と免疫力アップの両方に役立つのです。
今夜からできる3つの工夫で、ぐっすり眠って免疫力を上げよう
睡眠は、誰にとっても身近で、かつ影響力の大きな健康要素です。
眠れない夜が続いたとき、つい「年のせいかな」「ストレスかな」と流してしまいがちですが、そこには体の声が隠れているかもしれません。
まずは、寝る前の過ごし方を整えること、遅い時間の食事を控えること、栄養バランスを意識することなど、自分にできそうな一歩から始めてみましょう。
体がしっかり休まると、腸も整い、免疫力も自然と高まります。
よく眠ることは、明日の自分を守る力になるのです。