体を整える力は、休ませることから

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ファスティングで見つめ直す、自分のコンディション

「最近なんだか疲れやすい」「朝起きてもスッキリしない」
そんな感覚を抱えたまま、毎日を過ごしていませんか?

現代の暮らしは、便利になった反面、体にとっては負担が大きくなっています。
加工食品、運動不足、情報の多さ、そして絶え間ないストレス。
これらが積み重なり、「病気じゃないけど、なんだか調子が悪い」という“未病”の状態を引き起こしやすくなっています。

こうした中で注目されているのが、ファスティング(断食)です。

ファスティングって、なにをするの?

ファスティングとは、一定の期間、食事を控えることで体を内側から整える方法です。
ただ食べないのではなく、「内臓に休息を与える」というのが大きな目的です。

普段、私たちの体は食べ物を消化・吸収するためにたくさんのエネルギーを使っています。
そのときに活躍しているのが「ミトコンドリア」。
細胞の中にある、小さな“発電所”のような存在です。

ファスティングを行うと、消化のために使っていたエネルギーが他の働き、たとえば細胞の修復や免疫の調整といった作業に回されるようになります。

腸を休ませると、全身が整う

ファスティングによって、腸の負担が減ることも大きなメリットです。

腸は単なる消化器官ではなく、免疫、解毒、ホルモンの調整にも関わる“体の司令塔”のような存在です。
一時的に食事を休むことで、腸内環境がリセットされやすくなり、体調全体のバランスが整いやすくなると考えられています。

さらに、ファスティング中に体が飢餓状態に近づくと、「オートファジー」という細胞の掃除機能が働き始めます。
古くなった細胞を分解して再利用するこの仕組みは、まるで体の中に掃除スタッフが現れるようなもの。
不要なものを片づけ、体をクリアにしてくれる働きがあるのです。

心にも変化が生まれる

食から一時的に離れると、食べ物の味がより繊細に感じられるようになったり、体が本当に欲しているものに気づいたりすることもあります。

忙しい日常の中で、ただ何となく食べていた自分に気づくかもしれません。
ファスティングは、食生活と自分自身を見つめ直す、そんな静かな時間にもなり得ます。

安全にファスティングするために大切なこと

ファスティングを無理なく行うには、3つのステップがポイントです。

1. 準備期間(数日前)
いきなり断食に入るのではなく、数日前から少しずつ食事を軽くしていきます。
野菜中心の食事や、消化にやさしいスープなどに切り替えておくと、体もスムーズに対応できます。

2. ファスティング期間
この期間は、水分をしっかり摂ることが重要です。
ノンカフェインのお茶や水をこまめに飲み、激しい運動は避けて、体をゆっくり休ませましょう。
だるさや眠気などの一時的な不調(好転反応)が出ることもありますが、無理は禁物。異常を感じたら、すぐに中止してください。

3. 回復期間(復食)
実はここが一番大切とも言われています。
断食後、いきなり普通の食事に戻すと体に大きな負担がかかります。
まずは重湯や具なしのお粥から少しずつ始め、数日かけて戻していきましょう。

ファスティングは“万能薬”ではない

ファスティングは魅力的に見えるかもしれませんが、すべてを解決してくれるものではありません。

体調を整えるには、運動、栄養、睡眠、メンタルといった多くの要素が関わっています。
ファスティングはその一部に過ぎません。
だからこそ、自分の体調や生活スタイルに合わせて、無理なく取り入れることが大切です。

また、持病がある方、妊娠中・授乳中の方には向いていない場合もあります。
少しでも不安がある方は、医師や専門家に相談するようにしましょう。

ファスティングは“気づき”の時間

ファスティングは、体を整えるだけでなく、自分自身と静かに向き合うきっかけにもなります。
正しい知識と、自分への敬意を持って取り入れれば、きっと新しい気づきが得られるはずです。

食べることを見直し、体の声を聞く——。
それは「よりよく生きる」ための、小さな第一歩かもしれません。

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