健康診断の「A判定」に安心しすぎないで

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「異常なし」に潜む見えない不調

健康診断の結果を見て「A判定」と書かれていると、多くの人はほっと安心します。
でも、「なんとなくだるい」「以前より疲れやすい」など、体調に違和感を抱いた経験はありませんか?

実は、健康診断で使われる基準値は、あくまで集団の平均に基づいた“参考値”にすぎません。
そのため、数値が範囲内に収まっていても、必ずしも個人にとって最適な状態であるとは限らないのです。

健康診断の目的と「基準値」の正体

健康診断は、病気の早期発見を目的に行われます。
特に生活習慣病や重大な疾患の兆候がないかをチェックするためのものです。

ここで使われる基準値は、過去の健康とされる集団から導き出されたもので、必ずしも現在のあなたのライフスタイルや体質を反映しているわけではありません。
つまり、「基準値内=健康」ではなく、「参考範囲の中にいるだけ」なのです。

数値の背景にある体の声とは

健康診断の数値を正しく理解するためには、その裏にある“体の物語”に目を向けることが重要です。
たとえば以下のようなケースがあります。

肝機能の指標として知られる数値が少し高めだったとしても、それが病気とは限りません。
筋トレや運動を習慣にしている人では、筋肉の微細な損傷により数値が上がることがあります。

また、ガンマGTPが高めでも、アルコールだけでなく酸化ストレスの影響を反映していることも。
逆に、極端な食事制限でたんぱく質が足りていないと、必要な酵素が作られず、数値が下がる場合もあります。

「未病」のサインを見逃さないために

明確な病名がつかなくても、体が発するサインは数多くあります。
貧血の指標となるヘモグロビンが正常でも、鉄の貯蔵量が不足しているケースは珍しくありません。
とくにランニングなどを日常的に行う人は、足の衝撃で微細な出血が起きて鉄を失いやすい傾向にあります。

ビタミンB群や葉酸、B12の不足も重要なサインです。
食事内容や吸収能力、薬の影響などが関係し、疲れやすさや気分の乱れ、集中力の低下を引き起こします。
こうした不調は健康診断の範囲では見逃されがちです。

「体全体」で考える視点が大切

体は、各数値や臓器がバラバラに働いているのではなく、すべてが繋がって機能しています。
たとえば、腸内環境は免疫や精神状態に影響しますし、睡眠やストレスは全身のホルモンバランスに関わっています。

だからこそ、健康診断の数値を「ひとつの指標」として扱いながらも、それを自分の体調、食事、運動、メンタル状態と結びつけて読み解くことが必要です。

数値はゴールではなく「問いかけ」の始まり

健康診断の数値は、体と向き合うための手がかりにすぎません。
見慣れた「A判定」でも、体調の変化が気になるなら、その違和感に向き合ってみる価値があります。

次に健康診断を受けたときは、過去の数値と比べたり、日々の生活とのつながりを考えてみたりしましょう。
体からのメッセージを聞き取る習慣が、病気の予防だけでなく、本当の健康に近づく第一歩になります。

検査結果に頼りすぎない。体調の変化に気づく力を育てよう

体調の違和感は、必ずしも検査に表れるとは限りません。
だからこそ、あなた自身が自分の体の変化に敏感になり、数値の背後にあるストーリーを読み取る視点が大切です。

健康診断は、体との対話を始める“入り口”です。
数値に一喜一憂するのではなく、その先にあるあなた自身の状態と向き合う時間にしていきましょう。
小さな気づきが、未来の大きな健康につながります。

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