そのいびき、本当に「クセ」だけですか?
「最近、朝の目覚めが悪い」「パートナーにいびきを指摘された」。
そんな経験がある人は少なくないでしょう。
けれど、「たまたま疲れていたのかも」「昔からの癖だから」と見過ごしていませんか?
実はいびきは、体からの重要なサインかもしれません。
特に、睡眠中に呼吸が何度も止まる「睡眠時無呼吸症候群」が関係している場合、その影響は軽視できません。
いびきと無呼吸がもたらす体への負担
いびきは、気道が狭くなって空気が通るときに発生する音です。
さらに気道がふさがると、一時的に呼吸が止まってしまいます。
この状態が頻発すると、脳がその都度目を覚ましてしまい、深い眠りが妨げられます。
その結果、日中の眠気や集中力の低下、記憶力の低下などが起こりやすくなります。
また、睡眠時無呼吸は高血圧や糖尿病、脂質異常など生活習慣病のリスクも高めます。
さらには、交通事故や認知機能の低下、免疫力の低下、うつ症状、ホルモンバランスの乱れなど、心身両面に影響を及ぼすことが分かっています。
日常生活でできる“いびき対策”
まずは、生活習慣を整えることが対策の基本です。
朝は決まった時間に起き、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットしましょう。
寝室は静かで暗く、快適な温度・湿度を保つことが大切です。
寝る前にはスマートフォンの使用を控え、ぬるめのお湯で入浴して体をリラックスさせましょう。
日中の適度な運動も深い眠りをサポートしてくれます。
いびきを軽減するために横向きで眠るのも有効です。
また、口まわりや喉の筋肉を鍛える簡単なトレーニングも注目されています。
加えて、体重が増えると気道が狭くなりやすくなるため、体重管理も忘れずに。
こんなサインがあれば専門家へ
「いびきが大きい」「寝ているのに日中も眠い」「夜中に何度もトイレに行く」「朝起きたとき喉が痛い」「無意識に口呼吸している」。
こうした症状がある場合、睡眠時無呼吸の可能性があるかもしれません。
近年では、自宅でできる簡易検査キットや、耳鼻科・呼吸器内科・睡眠外来での相談も増えています。
早期に気づき、専門家の診断を受けることで、治療や対策がスムーズに進みます。
いびきをきっかけに、睡眠を見直そう
いびきは単なる音の問題ではありません。
体が「助けて」と発している大切なサインかもしれないのです。
質の高い睡眠は、心身の健康を支える土台です。
毎日を元気に過ごすためにも、まずは今日から自分の睡眠を見つめ直してみましょう。
夜の過ごし方を少し工夫するだけで、翌朝の目覚めが変わるかもしれません。
そして、その変化が、10年後の健康を支える力になるはずです。