朝起きてもなんとなく体がだるい。気分が沈んだり、理由もなくイライラすることが増えた。
そんな“心と体の違和感”を、忙しさやストレスのせいだと片づけていませんか?
実はそれらは、あなた自身からの「そろそろケアしてほしい」という大切なサインかもしれません。
現代社会では、心と体が密接につながっているにも関わらず、どちらか一方に偏った対処をしてしまいがちです。
しかし、真の安定を取り戻すには、内側からの声に気づき、生活全体を見直すことが欠かせません。
現代の暮らしが心と体に与える負担
仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、睡眠不足、乱れた食生活。
こうした日常の一つ一つが、気づかないうちにストレスとして心身に蓄積されています。
調査によると、ストレスの主な要因として最も多いのは「人間関係」であり、働き方や社会の不安定さも私たちの心に影響を与えています。
このようなストレスが続くと、体は常に緊張状態に置かれ、血圧の上昇や胃腸の不調、疲労感、不眠といった症状が現れやすくなります。
脳の働きも低下し、集中力が続かない、やる気が出ないといった心の不調に繋がることもあるのです。
不調の兆しを見逃さない:「未病」という考え方
東洋医学では、病気になる前の段階を「未病」と呼びます。
たとえば、肌の乾燥、便秘、イライラ、不安感、夜中に目が覚めるといった不調は、まだ病気とは診断されなくても、体からの明確なサインです。
こうしたサインは、「陰液不足(うるおい不足)」と呼ばれる状態を示していることもあります。
体が潤っていないと、心も不安定になりがちです。
逆に、心が穏やかになると、体内のバランスも整いやすくなります。
健康診断で「異常なし」と言われても、自分の感覚を信じて、小さな違和感に耳を澄ませることが大切です。
腸内環境が心の状態を左右する?
最近では「腸は第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境がメンタルに与える影響が注目されています。
腸内では、幸福感を生み出すセロトニンやドーパミン、落ち着きを促すGABAといった神経伝達物質の多くが作られています。
腸が乱れると、こうした物質の分泌が滞り、心のバランスが崩れやすくなります。
小麦製品や乳製品、砂糖などは、腸に炎症を起こしたり、消化吸収に負担をかけることが知られています。
特にアジア人は、これらの食品への耐性が低い傾向があるとされ、摂取量に注意が必要です。
腸を整えるには、まず「負担を減らすこと」が出発点です。
そして、発酵食品や野菜、魚、海藻、良質なタンパク質、オメガ3脂肪酸、ビタミン・ミネラルを意識的に取り入れることが、心身の土台を支えることに繋がります。
睡眠が心と体の修復時間になる
体と心の不調を回復させるために欠かせないのが、質の良い睡眠です。
寝ている間に、脳は情報を整理し、ホルモンバランスを整え、免疫機能を修復します。
しかし、日本人の平均睡眠時間はOECD諸国の中でも最も短く、約6時間半しかありません。
特に6時間睡眠の人は「足りている」と誤認しやすく、知らず知らずのうちに疲労が蓄積しています。
眠りの質を高めるには、朝起きる時間を一定にする、日中に光を浴びる、寝室の照明や温度を整えるなど、日々の工夫が効果的です。
夜のスマホ使用を控え、リラックスする時間をつくることも、入眠の質を左右します。
小さな意識が、大きな変化を生む
「ちゃんとしなきゃ」と思い詰めると、それ自体が新たなストレスになります。
心と体を整える習慣は、完璧でなくて構いません。まずは「少し意識してみる」ことから始めてみましょう。
夜の食事で小麦を控えてみる、湯船に浸かって深呼吸してみる、朝起きたら光を浴びてみる――
そんな小さな行動が、思っている以上に心身にやさしく作用します。
無理なく続けることが、安定した土台をつくる第一歩です。